お疲れ様です。
他人の家のドアを叩き、聞き込みをするなんて…想像もしたくない、内向的bです。
この記事は、内向的bの創作物「借金取りといっしょ!の人探し」の掲載記事になります。
「…何……だと………?」
となった方は
目次から「初めましての方、この創作物は…」へジャンプしていただき、
最初にそちらを読まれることを推奨します~
本文 「借金取りといっしょ!の人探し」
9月7日土曜日、午前。
(今日は、35℃まで上がるのか…
Kさん、あの暑苦しいかっこで行ったけど、大丈夫なのか…?)
苔色のカーテンをめくると、すでに強くなっている日差しを確認できた。
それを冷房のきいた快適な室内から眺めながら、僕は後ろめたさを覚えていた。
残りのアパートの住人や近所の人、アパート周辺での聞き込みを全てKに任せてしまったからだ。
「ボクはこういう人と話したりする方が得意やし、ネットで情報集めんのはyさんの方が得意やろ?
適材適所でええやん?」
と本人が買って出てくれたので、僕はそれに甘えた形だ。
真面目に捜索に協力してくれるK。
実のところ、僕はそれに驚きを隠せないでいた。
先輩は向こうの客でもあるから、当たり前っちゃ当たり前かもしれない。
(でも最悪、先輩に逃げられてもいい、みたいに見えるんだよな…)
言葉の端々や空気感から、しばしば感じられる余裕。
僕とは違ってKには「何としても探し出さなければ」という必死さが無いように見えるのだ。
捜索に2週間も費やすことも厭わなず、協力はもちろん進んで動いてくれる。
なのに切羽詰まった感はなく、むしろ余裕があるように見える…
その矛盾が僕の疑心を膨らませていた。
(夜逃げするほど積み上がってないって言ってたし、やっぱり怪しいんだよな…)
それに、あれも…
(あれは、冗談…だったのか?本当に…?)
昨日の、アパート内の捜索を始める前の会話が脳裏によみがえる。
”ボクな~、人が欲に溺れて、駄目になっていく様を見るのが好きなんよ~”
そう話していたときのKの目は、見たことがあった。
最初の夜、協力を依頼した時に垣間見た、獲物を狙うかのような貪欲な眼。
Kもあのスナッフビデオのアナコンダのような立場なのだろうか。
債務者を丸呑みにするアナコンダ。
そこでふと、気がついた。
(ああ、そうか…。だからあの時、あんなにも怖かったんだ…)
思い出したのは最初にKに遭遇した時のこと。
夕闇が迫るアパートの通路で、何故かも分からないまま、僕はKにひどく恐怖した。
その理由に今更ながら気づいたのだ。
あの時の男も、獲物を見定めるような眼で自分を見ていた―
表面上はひどく協力的で、人をからかうのは大好きなようだが、声を荒げることもない物腰の穏やかな人物。
だがその裏側には、僕が想像もつかない暗がりが広がっているのかもしれない。
「……でも、」
ちゃんと協力してくれている、という事実をまずは大事にすべきだろうと思った。
10都県にも及ぶ膨大な数の行方不明者情報をチェックする、地道な作業もこなしてくれた。
今のところ捜索にめぼしい成果はないのに文句もなく、しかも積極的に動いてもくれる。
それに捜索の素人である僕の話も、Kはちゃんと耳を傾けてくれた。
頭ごなしに否定などせず、僕の考えを尊重しながらも、自分はこんな風にも思うと言って意見をくれる。
だからKに対して意外と恐縮することなく、捜索に関しては色々考えを述べることができた。
(まあ、真っ当な捜索の指揮をぶん投げられた流れで、僕から捜索のあれこれを提案することが多かったせいもあるけど…)
それに人間なら誰だって、程度の差はあれど、後ろ暗いことを抱えているものだと思う。
それだけを理由に忌避してしまうのは、安直すぎて嫌だなと僕は思った。
(それが自分に牙を剥かないことが、大前提にはなるけど…)
だって内面はその人個人のものだ。
僕も後ろ暗いことを持っているし、社会性を持つ人間として褒められない思考の持ち主でもある。
自分のそういう部分を否定されたくないから、他人の事も簡単に否定したくないだけだけ、でもあるが。
(でも、人が駄目になっていく様を見るのが好きって、十分危険人物だよな…)
人が駄目になる様を、機会があれば見たいのか。
それとも、その機会だって作っていきたいタイプなのか…。
あの発言だけではどっちなのか判断が難しいが、Kはなんとなく後者のような気がしていた。
そのため危機回避の観点から、Kと距離をおきたい気持ちもある。協力体制をしいている今は難しいけども。
(話をちゃんと聞いてくれるのも…
あれももしかしたら、債権者達をコントロールする術のうちの一つ、なのかも。)
相手に付け入る隙を与えぬよう、気を引き締めて過ごさないといかなければ…
窓の外に意識を戻すと、ギラギラとした太陽が作り出す、底が無いような深い陰が見えた。
その暗がりは、黒スーツの男を思い起こさせた。
彼は今も、この地上を焼き尽くすような日光の下、聞き込みをして回ってくれているのだろう。
「………、」
せめて、今日のお昼は冷たいメニューにしよう。
そう決めた僕は、自分が受け持った調査、「計画②ネットやSNSを活用しての机上調査」に取り掛かった。
では今回はこの辺で!
続きは次回の掲載記事か、Amazon kindle 借金取りといっしょ!の人探し(上) でどうぞ~
ではまた~
初めましての方、この創作物は…
創作物掲載記事に初めて遭遇してしまった閲覧者様へ、
この作品の概要や、注意点についてご紹介します!
●どんな話?
・写真調の 挿絵いっぱい!ノベルゲーム風小説 です。サクサク読めます。
・考えすぎるライター&怪しい借金取りによる、不気味で 笑えて ほっこりする 人探しミステリーです。
・ジャンルは、ミステリー&ブロマンス です。
もうちょっと詳しく言うと…
・主要登場人物が3人だけ!殺人事件、探偵、警察も出てこない珍妙ミステリーです。
・2人の感情の動き、距離の変化、クソデカ感情をじっくり堪能できます。
・内向的な方におすすめ!「疲れにくく、深く楽しめる」物語になっているはずです。
●注意事項
・この作品はkindleで販売済み&購入者様もいらっしゃるため、結末まで掲載しません。
上巻の5~6割くらいまでの掲載とする予定です。あらかじめご了承ください。
あらすじ
―預かって欲しいものがある。
そんなきな臭い頼みを、恩人の先輩から引き受けたライターのy。
がその直後、先輩は音信不通となった…。
不安に駆られたyは、先輩の住む都心のアパートへと向かう。
そこで底知れない恐怖を感じさせる男、借金取りのKと出会うが…
日常に潜む…”闇”を垣間見る不穏なミステリー
あなたも、少し覗いてみませんか…?
あと、念のため…
この創作物は、内向的bが文も、絵というか画像も、全部一人で作ったものになります。
AIさんの手すら全く借りていない、ペンネーム通り「ぼっち」で作り上げた作品です。
よかったら宣伝、おすすめ、拡散していただけると、うれしいです。
とっても励みになります!
「借金取りといっしょ!の人探し」は、内向的bが心を込めて作った作品です…
作品やその一部を無断で、複製・盗作・販売行為などはご遠慮ください。
※このブログでは作者自身が、記事数を増やすために掲載しているだけで、無断転載ではないです!
この物語はフィクションです。
作中で登場する人物、団体、名称、事件等は架空のものです。実在のものとは関係ありません。
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