お疲れ様です。
自分の創作話を掲載することによって、記事数を楽に増やそうとしている内向的bです。
というわけでこの記事は、内向的bの創作した話
”現代的で現実的な召喚ファンタジー・ブロマンス”
の掲載記事になります。
「………?」
となった方は
目次から「初めましての方、この創作物は…」へジャンプしていただき、
最初にそちらを読まれることを推奨します~
本文 「召喚術の授業は××な魔物と、」
サラ……、パラ…サラ……
ベッドに寝かされた僕の黒髪を確かめるように触る、白く美しい指。
だが指の持ち主は眉間にしわを寄せ、依然厳しい顔をしている。
汚れはすっかり落ちたというのに。
「何故、私を呼ばなかった」
髪を見つめたまま魔物がポツリと呟いた。
「え?」
「…最初の日に言っただろう。契約を結ぶ気がなくても、何かあれば呼べと」
(そういえば、そんなこと言われてたな…)
ただ花達に襲われてからはいっぱいいっぱいで、全く思い至らなかった。
正直にそう打ち明けると、魔物は僕の目を覗き込んでガッチリと視線を絡ませた。
「いいか、もしまた何かあったら、次は必ず私を呼べ。
絶対に忘れるな…!!」
「は、はいぃぃっ」
念を押すように僕をギラリと睨みつけた後、ペリドットの瞳は視線を彷徨わせた。
「…お前が早く私を呼んでいれば…いや、私がもっと早く気づいたら、そもそもあの空間を外に作っていれば…」
そうこぼしていた魔物は僕の首元を見止めて、なぜか眉間のシワを深くした。
「お前をあんな目に遭わせることはなかったのに…」
魔物はそのまま僕の首を見つめながら、指先でそっとそこを撫で続けた。
表情は変わらず険しいままだが、先程よりは雰囲気が凪いだように見えなくもない。
だがその内側では重暗い感情が渦を巻いているのではないか、と僕は思った。
そう感じたのは、たぶん自分も似たような思いをした事があるせいだろう。
魔物の様子は、過去の自分を…安易に考えた結果、2度目の死の引き金を引いた自分を思い起こさせた。
――この魔物は今、深く後悔している。
僕が酷い目に遭ったことに対して自責の念を抱き、心苦しく思っている
これは間違っているかもしれないし、自分がただそう思いたいだけかもしれない。
魔物の方も単に管理体制の不備があったことを悔やんでいるか、僕の魔力の心配をしているだけかもしれない。
けれど。
”力のない者は好き勝手に弄ばれ搾取されるのが、摂理”
自分自身でさえ、そうやって仕方のないことだと思おうとした温室での出来事。
それを多少なりとも憂いてくれる存在が、目の前にいた。
その事実に、僕は胸がいっぱいになってしまった。
契約を結ばせるための演出かもしれない、と理性は諌める。
それでも感情は溢れ出して、止まろうとしなかった。
「!? っお、おい、どうしたんだ?痛むのか?思い出して恐ろしくなったのかっ?!」
「…っだ、大丈夫です。なんでもな」
「ないわけ無いだろう。
…確か人間は触れ合うことで、不安や恐れを緩和したりするのだったな…」
そう言って魔物は、僕をゆっくりと抱きあげて寝台の少し奥へと横たえた。
そして今度は自分もベッドに潜り込む。
その行動に何度か寝かしつけられたことを思い出すが、今回はなんだか密着度が高い気がした。
不思議に思っていると、壮麗で気高い自称・領主様は次のように仰った。
「光栄に思えよ。人間風情が私を抱き枕にできることを」
しかも、ドヤぁという効果音まで背負っていそうな言い様である。
…こ、これはどう解釈しても、全人間風情が困惑必至な現象であった。
「え、あの、いや」
「ほら遠慮するな、私をコケにする気か。お前には休息が必要なのだから、早く眠れ。」
と魔物は自称・抱き枕のくせに、僕を抱きしめながら眠りを促した。
(お……こ、こんな風に抱きしめられるのなんて、いつぶりだろ…)
初等学校の2、3年生以来だろうか。滅多にない他人との密着具合に戸惑い緊張し、ついモゾモゾしてしまう。
しかも相手は自称・月桂樹の魔物であらせられるのだ。
こんな状態で寝れる訳がない…
そう思っていたが、慣れるのは自分でも意外なほど早かった。
(…この人、なんか森みたいな香りがして、落ち着く…)
例の馴染みあるようなホッとする感じも、香り由来だったりするんだろうか…?
そんなことを考えていると、フワフワとした眠気がやってきた。
しかもそいつは悪いことに、僕の遠慮や自制心を遠くへ追いやってしまう。
虫けらのように蹂躙された心と体の震えは、まだ止まっていなかった。
誰かに縋りつきたい欲をずっと訴えていた。
そしてとうとう僕はそれを抑えられなくなって、おずおずと枕に抱きついた。
すると応えるように背中に回った腕が揺れ、ひんやりとした手が優しく背をさすってくれた。
(木の、ゆりかごみたいだ……)
魔物の腕の中は、悔しいくらいに安心できる場所だった。
自然とせり上がってきた雫を隠すように、僕は彼の胸に顔をうずめた。
そして眠りへと沈み込んでいった。
今回はここまでにします~
ではまた~
初めましての方、この創作物は…
創作物掲載記事に初めて遭遇してしまった閲覧者様へ、
この作品の概要や、注意点についてご紹介します!
・【安全第一なぼっち学生 VS 月下美人系魔物】の召喚契約を巡る攻防を描く話です。
・ジャンルは、現代ファンタジーなブロマンスです。
・挿絵は制作中ですが、今のところ2枚ほどあります。
もうちょっと詳しく言うと…
・転生、チート、俺TUEEE、最強、ざまぁ、追放、不遇…などという要素は皆無!
流行りの異世界ファンタジーとは真逆のところを目指す、
ぼっちが考える「最強にリアル感のある召喚術のあれこれ!!」
を詰め込んだ、現代的で現実的なファンタジーです。
・ファンタジーなのに、主要登場人物が3~4人だけ!
というか7割がた、ぼっち学生と魔物の2人だけで構成されていますww
・2人の感情の動き、距離の変化、クソデカ感情をじっくり堪能できます。
・過去を引きずりがちな方 におすすめです。
過去の過ちを思い悩む主人公を通して、
「それをどうにかマシにするには?」を描くヒーリングストーリー…
だと作者は思っています。
あ、もちろん、
内向的な人が「疲れにくく、深く楽しめる」物語になるように心がけて作っております。
注意事項
・この作品は、結末まで掲載しません。
ぼっち的に「話の肝」部分までAIに学習されると困るので、ブログでの公開は半分くらいまでの予定です。
・人体ではないですが、少しグロテスクな表現があります。
・ちなみに【BL版】をpixivに載せてます。
あらすじ
――方陣内に現れた半透明の蝶
初めての召喚。その青い羽ばたきに、言葉にできない感動を覚えた。
次の瞬間…
平凡な魔術学生だったyは、召喚術の授業でありえない事故を起こしてしまう。
その結果、学校中からサイコ扱いされ…
あと、念のため…
この創作物は、内向的bが文も、絵というか画像も、全部一人で作ったものになります。
AIさんの手すら借りていない、ペンネーム通り「ぼっち」で作り上げた作品です。
よかったらおすすめ、拡散していただけると……ぼっちはうれしいです。
とっても励みになります!
「召喚術の授業は××な魔物と、」は、内向的bが心を込めて作った作品です…
作品やその一部を無断で、複製・盗作・販売行為などはご遠慮ください。
この物語はフィクションです。
作中で登場する人物、団体、名称、事件等は架空のものです。実在のものとは関係ありません。
★感想・アウトプット的スペース★ 閲覧者様の思ったこと、聞かせてくれませんか…?