#113_№1-召喚術の授業は××な魔物と、 …過去を引きずる人のためのヒーリングストーリー…

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創作作品(一般向け)
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お疲れ様です。
「内向的って何だろう?」の再考察記事がなかなか書き進められない、内向的bです。
 
そこで自分の創作話を掲載することによって、
時間を稼ぐことにしました!

よって今回は内向的bの創作物の本文、
「召喚術の授業は××な魔物と、(ブロマンスver)」の掲載記事になります。

 

本文 「召喚術の授業は××な魔物と、」

 
目覚めても、悪夢は終わっていなかった。

(う”うっ、ベタベタで気持ち悪い…)
服の残骸を纏う体は、土や毒液が混ざり合ってドロドロに汚れている。
そして僕は変わらず蔓に囚われていた。

魔物は少し離れた所で目を閉じていた。
その姿は遊び疲れた子どもが眠っているみたいだった。
(蔓もだいぶ緩んでるけど…)
だが蔓を振り払って逃げる体力も気力も、もう残っていない。
粉雪のように降り積もる絶望に自我が覆われていく中、ぼんやりと思う。

(…本当はもっと早くこうなっていたかもな…)
今までは運が良かっただけ。
脅威をはねのける力のない者は、虫けらのように弄ばれる。
それが摂理なのだろう。

「…っ”っ……
 …!!ッ」

気配を感じたのだろうか。
魔物がふるふると瞼を持ち上げ、あのぞっとするほど鮮やかな瞳をのぞかせた。
そして目を覚ました僕を見つけると、唇の端をつり上げて近づいてきた。

(また…ずっと溺れ続けるような時間が始まるのか…)
呼吸が早くなり、体が震える。
「ッ…ハッ…ハッ”…」
(召喚契約を結んでれば、こんな目に合わなかったのかな…)
迫りくる蹂躙に怖気づいた心は、今更後悔し出した。

(…いやダメだ。アレは絶対にダメだ)
多くの人を魔物の餌にするような選択を、選ぶ訳にはいかなかった。
だから、こうなったのも仕方ない…

「っ”っ………、」

ああ、でも。
どうせ喰われるのなら――

諦めて目を閉じて、僕は早く終わることを願った。
自分はもう、それしかできそうになかったから。

 

 

 

 

「2年生の皆さんの召喚地域は白緑湿原です。教科書53ページを開いて下さい。」
石造りの広い召喚室にページを捲る音が響いた。

(図鑑にもよく出てくる所だな)
白緑湿原は多様な生態系を持つ、魔界有数の豊かな地だ。
それだけでなく、他地域と比べ温厚な魔物や弱い魔物も数多く生息しているらしい。

「白緑湿原は魔界史にも名を刻む、強大な魔物の支配地域だと言われています。
 では出席番号7番の人、その魔物の名前を教えて下さい。」
「は、はい、月桂樹の魔物です…」
「ありがとう、正解です。
 ”月桂樹の魔物”は1年生でもやりましたね。魔界の領主の中でも特に有名です。
 月桂樹という呼び名は、月夜の大戦の勝利者にちなんだものです。
 他にも”月下決戦の覇者”や略称の”L”などと呼ばれていますね。」

(確か一夜で数万の軍勢を滅ぼしたんだよな…
 でも有名な割に、どんな魔物か分かってなくて謎も多い…)

魔界は過酷な環境だ。
そんな中で強い魔物が住処を定めると、暮らしやすい場所を求めて他の魔物達も自然と集まってくる事がある。
そうして形成されたエリアの頂点に君臨する魔物――僕達はそれを「領主」と定義している。

魔界ではより良い住処や獲物を求め、争いが生まれやすい。
特に領主達同士の戦いは苛烈を極めるという。
過去には魔界統一を成し魔王と呼ばれた魔物もいたそうだ。
ただ今の魔界は領主達が各々の生活エリア一帯を支配する、群雄割拠の時代となっている。

(そういう魔界史も学べるし、1年生の座学授業も面白かったけど…)
だがやはり、実際に召喚を行う魅力はそれとは比べ物にならなかった。
楽しみでしかたなくて、指折り数えてこの日を待ち望んでいた。

 

「では今日、皆さんが初めて召喚する魔物は、その白緑湿原の”燐蝶”です。」
そうして迎えた初の実践授業での課題は、初歩も初歩、蝶に似た最弱に近い魔物の召喚だった。

魔方陣に召喚門を繋げる先の座標や召喚対象の情報など、必要な設定を描きこんでいく。
書き上げた魔方陣に魔力を注ぎ、魔界へと繋がる門へ変える。
難なく門を繋げることができた僕は、いよいよ魔物を喚んだ。

――方陣内に現れた半透明の蝶型魔物

初めての召喚。その青い羽ばたきに、言葉にできない感動を覚えた。
次の瞬間。

 

 

今回はここまでにします~
ではまた~

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